待望の棚

「服に対する、すなわちデザインに対する見方を変えるためにしたいことがある。 そのためには自分の暮らし方、それに環境を変えなくてはならない…わたしの人生と仕事になにか変化が起きる予感がする。
それがなにかはわからないが、ともかくそれが起きる前にしなくてはならないことがあることはわかっている。 さらに、なにかが起こるというとき、その新しいことがなんであっても、わたしは胸を開いて受け入れる」Nはある雑誌でこのように述べている。
そしてNの選んだ解決法は、世界的に有名なオークションハウス、クリスティーズでコレクションを競売にかけることだった。 たとえNほど貴重な家具をもっていなくても参考になる話だ。

これからまさに起こりつつある変化を受け入れる余裕をもつために、いままで大事にしてきたものをひとつ諦めるわけだ。 アメリカでは節税になるからと、地元のリサイクルショップにもちこむ方法があるが、それは値の張るモノを扱う賢いやり方ではない。
それほど高価でないものを処分するより高価なものを処分するほうがずっと努力がいる。 だから、そこが思案のしどころ。
思い切ってやってしまえばすばらしい奇跡と魔法が向こうからやってくると信じ、どう処分するのが賢明かじっくり策を練る。 自分なりに考えると同時に、誰かの知恵も拝借する。
オークションハウスにもちかけるべきか、専門のトレード誌に広告を出すか、コレクターに直接売るか、それとも委託販売店におかせてもらうか。 頭をひねり、調べたり人にきいたりして解決をはかる。
そんなことは一度も経験がないというなら、いい勉強になる機会と思い、あとは行動に移るのみである。 どうにも身が入らないなら、自分が人生のなかで余裕をつくろうとしている目的とモノにしがみつく理由をてんびんにかける。
どちらがほんとうに自分のためになるかに絞って考え、前向きに動くよう自分で自分にムチを打つ。 わたしのワークショップに参加した女性の場合だが、彼女は夫とともに長年コレクションしてきたクリスタル類を手放そうと考えていた。
どんな行動をとるべきか話していくうちに、彼女がクリスタル類のコレクター向けに雑誌を発行している団体の会員であることがわかった。 そして、その雑誌に広告を出すならいつでもできるではないかと指摘してはじめて、彼女にとって問題なのは手放し方ではなく手放すことじたいだとはっきりした。


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